リハビリ中の患者さまへ

当院ではボツリヌス療法を行っております。

リハビリテーションとボツリヌス療法を並行して行うことで、リハビリテーションが行いやすくなります。

ボツリヌス療法とは

ボツリヌス療法とは、ボツリヌストキシンを有効成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。緊張している筋肉をやわらげることができます。

この治療法は世界中の国々で認められており、日本でも疾患によっては医療保険の適応が認められています。

ボツリヌス療法の保険適応疾患

●痙性斜頸(けいせいしゃけい)
自分の意思に関係なく首の筋肉が特定の方向に曲がってしまい、
正面を向くことができなくなる病気です。
●小児脳性まひ患者の下肢痙縮(けいしゅく)に伴う尖足(せんそく)
ふくらはぎやアキレス腱の筋肉が縮み、つま先立ちのような足の形になる病気です。
立ったり歩いたりする時、かかとが床に着かなくなります。
●脊髄損傷・脳卒中などに由来する上肢下肢痙縮(けいしゅく)
筋肉が緊張状態になり、手の指が曲がったままの状態になったり、
下肢が突っぱって、動かしにくくなる病気です。

ボツリヌス療法のメリット

●手足の筋肉がやわらかくなり、動かしやすくなります。

●リハビリテーションが行いやすくなります。

●筋肉のつっぱりをやわらげることにより、痙縮による痛みを減らすことができます。

●関節が固まったり、変形するのを予防します。

●介護の負担が軽減します。

ボツリヌス療法は安全な治療です。

ボツリヌス菌は食中毒の原因菌であるため、ボツリヌス療法と聞いて不安を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、菌そのものを投与する訳ではなく、菌が作り出すボツリヌストキシンという天然の良質なたんぱく質を使用します。
菌自体が体の中に入ることはなく、ボツリヌス菌に感染する恐れはありません。

リハビリテーションはこれまで通り行うの?
リハビリテーションとボツリヌス療法を同時に行なうことで、リハビリテーションが行いやすくなります。リハビリテーションはこれまでと同様に続けて下さい。

ボツリヌス療法の流れ

診察

患者さまの「痙縮の程度」や「日常生活動作で困っていること」「治療を受けられるかどうかの判断」「治療の目標」など医師による診察を行っていきます。

初回:ボツリヌス療法実施

つっぱりのある筋肉に薬を注射します。
当院では、理学療法士、作業療法士などの専門スタッフと医師が連携し、筋肉の動きを確認しながらより効果の高いリハビリテーションを行っています。

2回目以降の治療

治療の効果を確認しながら2回目のボツリヌス治療を行います。
以降は経過観察と治療を繰り返しながらリハビリテーションを進めていきます。
※治療の間隔には個人差があります。

ボツリヌス療法の費用

ボツリヌス療法は保険が適応されますが、注射薬自体が非常に高額なため、投与の量(単位)に応じて治療費は大きく変わります。

下記の表は、単位を元にした治療費一覧表です。

単位医療保険3割負担医療保険1割負担
5014,769円4,923円
10026,260円8,753円
25067,290円22,430円

※ほとんどの場合、初期投与では、30~60単位の薬剤が注射されます。

医療費を抑えるための制度について

●身体障害者手帳制度
身体障害者手帳の1級・2級をお持ちの方は、医療費が免除されます。
また、それ以外の方でも医療費が一部免除されることがありますので、詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。
●高額療養費制度
医療機関や薬局で支払った金額が、1か月で一定の限度額を超えた場合に、その超えた額が後日還付される制度です。
限度額は、加入者が70歳以上かどうかや、世帯収入などにより各家庭ごとに異なります。また、70歳以上の方には、外来だけの上限額も設けられています。
申請方法の詳細につきましては、区役所または市町村役場にてご確認ください。 厚生労働省のホームページによりご確認いただくことも可能です。

厚生労働省ホームページ 高額療養費制度を利用される皆さまへ

参考リンク

当院では、グラクソ・スミスクライン株式会社製のボツリヌス注射を使用しております。サイトでは、痙縮の症状やボツリヌス療法などについて詳細に説明されています。パンフレットのダウンロードも可能ですので、ご参考下さい。

手足のつっぱり 痙縮情報ガイド